衣料の汚れは、いろいろな成分が複雑にからみあった混合物で、着用時にからだから分泌される汚れと外部から付着する汚れに大別されます。
これらの汚れをその化学的性質から分類すると、おおよそ3つのグループに分けることが出来ます。
(1)水溶性又は分散性物質:例えば汗や果汁などは「水に溶解または分散」します。これらの汚れの場合、洗剤(界面活性剤)の働きは汚れを落すことよりも、被洗物を水でぬれやすくする、いわゆる浸透作用が主に関係します。しかし、でんぷんなどは放置すると固化したり、また、たんぱく質系の血液、牛乳、卵白などは、熱、湿度、紫外線などにより質的に変化し、水不溶性となって汚れが落ち難くなりますので、汚れは早いうちに落すことが大切です。
(2)水に不溶性の無機物:例えば泥やススなどは「水に対して不溶性であるだけでなく、多くの有機溶剤にも不溶」です。したがって、これらの汚れには、洗剤の分散作用と汚れを水中に分散しやすくするために、洗濯機などの機械力が必要です。
(3)水に不溶性の有機物:例えば皮脂や油性食品などは「水に溶けない汚れ」です。これらの汚れは、洗剤の乳化作用によって、繊維から取り除かれます。皮脂に含まれる脂肪酸は、洗剤に含まれるアルカリ性物質によって化学的に石けんとなり、汚れの除去を助けます。これらの汚れの除去にも機械力が必要です。